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昼休みがやってきました。皆はわらわらと虫のように移動していきます。
中庭の、木陰の中。
そこのベンチに座り、僕はお弁当のフタを開けます。
「……すごい」
それはそれは豪勢な中身なのです。うまく炊かれている高級そうな白米、うまく焼かれている高級そうなお肉、うまく切られている高級そうな野菜、以下略。
「さすが毎日限定三個のお弁当!」
僕は箸を割ります。
「美味しそうだな」
「ええ、そりゃあもう! 授業が終わった途端に走らなければ手に入れることが出来ないんですから!」
「君は授業が終わった途端に走る人間には見えないな。もぐもぐ」
「えへ、やっぱそう見えます? 実は、株を上げておくために毎日購買部でお手伝いをしていて、そのご褒美として特別に弁当を売ってもらったんです。面倒臭いからもうやりたくありませんけどね」
「偉いぞ少年。売ってもらったというところがいかにもだが。ついでに、結構酷いのだな。もぐもぐ」
「みんなには内緒ですよぅ?」
誰かに経緯を説明し終えた僕は、お弁当に箸をつけようとしました。
あれれ? ちょっとだけ減っています。
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