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「お、毎日限定三個の弁当じゃねぇか。お前ごときがこんな豪勢な弁当を……お前のものは俺のものだ」
無遠慮に僕のお弁当を覗き込む彼は、偉そうにそんなことをぬかしやがります。
――あぁ、またもや僕の弁当が――
危機を感じ取った僕は、おかずに手を伸ばす彼の腕をがしっと掴み、間髪入れずに
「手づかみは良くないですよ? ところでこの人、誰だか分かりますか?」
言葉を投げ掛け、お兄さんに指を指します。……が。
「どこだよ」
「どこって……ここですよ、ここ」
彼はそこに目を凝らすようにしますが、
「ねーよ。何も」
「えっ? そんなわけ……」
見えていない?
バカには見えないとかそういうのじゃないですよね? ね?
「お前、大丈夫か?」
「君に言われたか無いです。でも実際ここに……あ」
僕は脳をフル稼働させて考えます。
考えられる答えは二つ。このおバカさんの釣り、もう一つは……僕にしか見えていないということ。
前者は切り捨てましょう。何故かって?
アホな彼にそんな芸当が出来るはずが無いからです。
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