Pt.1

5/5
前へ
/121ページ
次へ
 ということは……僕はとうとう幻覚という物を見るようになってしまったようです。狂ってしまったということなのでしょうか。あはははは!  でも、ここは冷静にならなければっ。 「……は、はは。冗談ですよ」 「顔、真っ青だぞ?」  僕は髪をかき上げ、こんなことをほざくのです。 「やだなぁ。僕、最近は役者になるためのトレーニングしてるんです。今のは練習の一環。プロは顔色を操ることも出来るのです。知りませんでしたか? 甘いですね」 「…………」  彼は数秒間沈黙しました。  そりゃそうですよね。いくら彼でも嘘だと分か 「マジ!? すげえ! もっとやってくれよ!」  見事に信じてくれました。  こんなギャグと変わらないような嘘に騙されるなんて、本当にバカで良かった。今度何か奢ってあげましょう。 「うーむ。大変なのだな、少年も」  この男は……
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加