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そこには女性がうつ伏せで倒れていた
「だ、大丈夫ですか…?」
「痛たた…」
女性は鼻を押さえながら、顔をあげた
「どぉも~。大家の日向(ヒナタ)と申しますぅ~」
日向はうつ伏せのまま、挨拶を済ませる
「どうも…烏丸です…」
呆気に取られた烏丸は、合わせて挨拶する他無かった
「よっと…ここは私の部屋でぇ、烏丸君のお部屋は二階よぉ?」
日向はようやく立ち上がり、にこやかな表情のまま、首を傾げた
「いや、分かってるんですけど…挨拶ぐらいはと思いまして…」
日向はポンッと両手を顔の前で合わせた
「そうよねそうよねぇ!どうぞこれからよろしくお願い致しますぅ~」
そして深々と頭を下げた
「こちらこそ、宜しくお願いします」
烏丸も負けじと頭を下げた
「あの…それより本当に家賃はあの値段なんですか?」
烏丸は頭を上げた
日向は烏丸の声を聞き、ゆっくりと姿勢を戻す
「んん~?ご不満かしらぁ?」
烏丸は首をこれでもかと横に振った
「とんでもないです!ただ…一万円って安すぎじゃありませんか?」
風呂・トイレ付きの1LDK
少々漂う古臭さを差し引いても文句の言いようがない格安物件だった
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