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「こうしないとねぇ、誰も入居してくれないのよぉ~」
日向は肩を落とした
しかし、目もとは笑っているように見えるため、あまり悲しそうには見えない
「いや、どんな理由があろうとこの値段だったら誰でも住みたくなりますって」
烏丸は納得いかなかった
それこそ、曰く付きの部屋でさえこんなに安くならない
「烏丸くん?あなた、口は固いかしら?」
その時、日向の顔つきが変わった
優しそうな表情が一変して、深刻な表情になる
烏丸は息を飲んだ
「是非とも…教えて下さい…」
「後悔…しないわね?」
「…はい」
烏丸は頷いた
「実は…出るのよ…」
やはりそうなのか
烏丸の頭には様々な予測がたつ
「黒い悪魔…」
日向はボソッと呟いた
「あ、悪魔ですか?」
「そう悪魔。烏丸くん、あなたにはそれを退治してもらうわ」
「やはり…何かあるとは思ってましたよ。俺、素人ですけど…出来ますかね?」
烏丸は恐怖を抱く反面、喜びもあった
非日常へと身を投じることで己を変えていけると思ったからだ
「私も初めは無理だと思ったわ…でも強力な武器を手に入れたの。烏丸くんの分もあるわ」
そう言って日向は部屋の奥へと消えていった
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