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「黒い悪魔…俺の敵…くうぅぅ!たまらねぇ!」
烏丸は人様の家の玄関だということを忘れ、拳を高く振り上げる
やがて奥から日向が戻ってきた
その手には筒のようなものが握られていた
それは烏丸も実際に目にするのは初めてだった
「はい、これ。凄い効き目なのよぉ~」
「これ…ゴキゴキバイバイ…ですよね?」
「CMでやってるじゃない~?あんな直ぐにゴキブリ倒せないわよぉって思ってたんだけどね…でも本当にイチコロなのよぉ!」
烏丸は殺虫剤のスプレー缶を手渡された
「それじゃ、烏丸くんの部屋は二階だからねぇ。家具はもう届いてるはずだからぁ」
日向は手をひらひらと優しく左右に振る
「はぁ…宜しくお願いします…」
烏丸は頭を下げ、外へと出ていった
「うん…ゴキブリだけであの値段なら喜ぶべきだよな…」
しかし、烏丸は素直に喜べなかった
右手に握られた黒い悪魔に効き目抜群の武器ですら心の支えにならない
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