-プロローグ-

2/6
234人が本棚に入れています
本棚に追加
/584ページ
  「えッッ…!?」   彼のセリフが頭を巡る。   しかし、何度巡っても理解できない。   「もう1度言って…?」   きっと聞き間違いだと信じて彼の言葉を待つ。   「別れて欲しいんだ。」   「……。」   聞き間違いなんかじゃない。   きっと何度聞き返したって彼からはこの言葉しか出てこない。   これ以上聞き返すのは自傷行為だ。   十中八九あたしは彼の言葉を聞き入れ、別れなくてはならないのだろう。   泣いてすがったって突き放されるだけ。   こんな風に冷静に考えてる自分がいた。   それでも聞かずにはいられない。   「どうして?」   これでもあたしは振られたことがなかった。   別れを告げるのは今までずっとあたしの役目だったのだ。   「ごめん。」   彼は涙目で頭を下げた。   「謝らなくていいから理由を教えて!」
/584ページ

最初のコメントを投稿しよう!