234人が本棚に入れています
本棚に追加
/584ページ
「えッッ…!?」
彼のセリフが頭を巡る。
しかし、何度巡っても理解できない。
「もう1度言って…?」
きっと聞き間違いだと信じて彼の言葉を待つ。
「別れて欲しいんだ。」
「……。」
聞き間違いなんかじゃない。
きっと何度聞き返したって彼からはこの言葉しか出てこない。
これ以上聞き返すのは自傷行為だ。
十中八九あたしは彼の言葉を聞き入れ、別れなくてはならないのだろう。
泣いてすがったって突き放されるだけ。
こんな風に冷静に考えてる自分がいた。
それでも聞かずにはいられない。
「どうして?」
これでもあたしは振られたことがなかった。
別れを告げるのは今までずっとあたしの役目だったのだ。
「ごめん。」
彼は涙目で頭を下げた。
「謝らなくていいから理由を教えて!」
最初のコメントを投稿しよう!