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『アベさんの話』
俺は調理師なんやけど、前、働いていた職場は割と大きい老舗的な店でした。
そこに古くから勤めているアベさんというオジサンがおったんやけどチョット天然な人で優しい人でした。
ある日の仕事中、俺らが俗にカンテキと呼ぶコンロがあるんですが5つのコンロとも火を全開にしている時に事件は起こりました。
イチバン奥の鍋を取ろうとした時に手前の火がアベさんの白衣に引火したんです。
「うわぁっ!」
などとテンパったアベさんは反射的に白衣の火を手で叩いて消そうとしました。
すると、この白衣の材質がポリエステルだった為に熱で溶け出し、叩いた手に付着しました。
「アッーーーー!!」
と絶叫しながら横の流しに置いてあった鍋の水の中に手を突っ込んだアベさん。
しかし、この鍋に入っていたのは水ではなく、お湯でした。
「ギャーーーっ!!」
などといいながらヒトリ大慌てするアベさんを尻目に他のみんなは黙々と仕事をしてました。
アベさんフォーエバー
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