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「相変わらずデリカシーのない御方ですわ。
貴方のような方を婚約者だなんて決めたお母様を随分恨みましたの『私はフォーロス家を発展させるための道具になるつもりはない』と、」
「そいつは…」
「しかも、貴方と言う人は酒と博打に溺れて、女にだらしないどうしようもない人で、宮廷に近寄ろうともしないとの噂でしたもの」
「…そりゃ、返す言葉もねぇな」
居心地悪そうに頭を掻くゼネテスにクスッと笑いティアナは追い打ちを掛ける。
「幾年ぶりにお会いしたかと思うと、噂に違わず酒の匂いをさせてスラムに入り浸り、アイラ様と顔見知りにされて親しそうでしたし」
「どうした? 嫉妬でもしたのか」
「今度、是非ともよく映る鏡を送らせていただきますわ」
茶を濁そうとするゼネテスにティアナは笑顔で切り捨てる。その笑顔には『顔を洗って出なおしてきてくださいませ』と空気を滲ませている。
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