2/2
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
―なんで... 見開く目。暑いはずなのに冷や汗が噴き出す。喉はカラカラ。叫びが声にならない。 ひざを着く。視界がぼやけ、目から何かが頬に伝う。 叫ぶ。 声が出たと思ったら、何を言っているのか分からない。ソイツの名前を連呼しているのか、起きてくれと願う言葉か、ただの泣き声かもしれない。 どれにしても、悲痛なものには変わりはなかった。 ぼやけた視界の中に見えるのは、恐ろしいほどに真っ白なベッドの上の顔だけだった。 甘酸っぱい果実のふさの片方が切れて、落ちて、潰れて... 消えた。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!