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―なんで...
見開く目。暑いはずなのに冷や汗が噴き出す。喉はカラカラ。叫びが声にならない。
ひざを着く。視界がぼやけ、目から何かが頬に伝う。
叫ぶ。
声が出たと思ったら、何を言っているのか分からない。ソイツの名前を連呼しているのか、起きてくれと願う言葉か、ただの泣き声かもしれない。
どれにしても、悲痛なものには変わりはなかった。
ぼやけた視界の中に見えるのは、恐ろしいほどに真っ白なベッドの上の顔だけだった。
甘酸っぱい果実のふさの片方が切れて、落ちて、潰れて...
消えた。
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