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必死に思いだそうとするウェンリーを見てケンはニヤリと笑った。
策士である。
だがことわざに『策士、策に溺れる』という言葉があるように、ケンは溺れてしまった。
「そうでした!!王子!!
さぁ城に戻って勉強の続きです!!」
「えぇっ!?」
ウェンリーに思い出されてしまった。
ウェンリーはケンの腕を引っ張り、城に連れて行こうとする。
「いででででで!!
ウェンリー、いてぇって!!」
ケンは痛そうにしている。
だが……。
「そんなこと言って、それで放したら逃げるつもりなんでしょう!?」
ウェンリーにケンの策がバレてしまった。
「そうだけど?」
「開き直らないでください!!」
ウェンリーはまたしてもツッコミを入れる。
ケンの言う通りツッコミの神様である。
そしてケンはウェンリーに連れられて城に戻った。
そしてケンの部屋に入れられた。
そこには40代前半の渋い男と20代前半の若い男性が立っていた。
渋い男の方の名はシド=ヴァンフォーレ、バハムート王国軍の総司令官で『鬼将軍』と呼ばれる男である。
そして若い方の男の名はヴィンセント=クレメンス、クレメンスという名からわかるようにウェンリーと兄妹である。
ヴィンセントはシドの部隊の部隊長である。
なのでそばに控えていた。
そして二人はケンとウェンリーが入ってきたのに気づき振り返った。
「王子、またサボりましたな?」
シドは言い方は紳士的だが明らかに顔は怒っている。
「うん、サボった。」
ケンはいけしゃあしゃあと言う。
しかしもう慣れているのかシドはこれ以上キレず、そのまま言った。
「あなたは次期国王なのですぞ?
その自覚はおありですか?」
「ん?ないない。」
ケンは即答だった。
まだケンはあどけなさの残る少年だった。
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