~若き竜の剣士~

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「ここは『時空転移の間』だ。」 ゼロは説明をした。 「なるほどね。それで? どういったわけで俺がシリウス大陸ってとこに行かなくちゃいけないんですか?」 「ふむ、そう言えば言うのを忘れておったな。」 ゼロはそう言ってるが詫びる気持ちは無いようだ。 「この間時空の乱れを感知したのだ。」 「時空の…乱れ?」 ケンは初めて聞く言葉に訳がわからないといった顔をした。 「あぁ、時空の乱れが起こる時はその世界の歴史が動こうとしている時なのだ。 だからお前にその調査をしてもらい、そして正しく導いてほしいのだ。」 「はぁ……さいですか。」 ケンは溜め息をついて言った。 明らかにやる気がなさそうだ。 「ってことで行ってこい。」 「はいぃっ!?なんで俺なんすか?」 ケンはおどろいてゼロに尋ねた。 「代々こういうことはバハムート一族の王子がやってきたことだ。 ワシもそうしてきた。 だから今度はお前の番だ。」 ゼロはケンの肩をポンっと叩いて言った。 「ちなみに拒否権は?」 「もちろんない。」 「ならお断りします。」 「お前には国語能力が無いのか? お前に拒否権はない。」 ゼロは少しキレながら言った。 どうやら短気らしい。 「わかりましたよ。 行けばいいんでしょ?行けば!!」 ケンはもうヤケになった。 当然である。 まだ15歳なのであるのに歴史を正しく導くなんて英雄じみた事を「強制的に」しなければならないのだから。 「おお、行ってくれるか。 そういえば忘れておったが掟がある。」 「なんですかそれは?」 ケンは「まだなんかあるの?」的な顔をして言った。 「うむ、それは『決してそこの歴史に名を残してはならない。 たとえそれが自分の偽名だとしても』だ。 いいか?わかったな?」 ゼロはケンに確認する。 「へいへい、わかりましたよ。」 ケンは仕方なく了承した。
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