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 さらに調べていくと、宮沼というクラスメイトの素性が次々と明らかになっていく。最近の何でもパソコンに保存していくという風潮は、私にとって都合が良すぎます。何でもあっさりと、調べることが、可能です。あまりに、無防備。逆に心配です。 そんな心配は置いておき、私は清水のことも調べ上げた。といっても、清水のことは宮沼ほど面白いものではなかったですね。清水は一般家庭の、引っ込み思案の、女の子。普通の、女の子です。同じ小学生の私がが、こういうことを感じる、というのは傍から見れば、おかしなことかもしれません。でも、子どもと いうものは変わっていくものです。大人の期待には沿わずに。  戯言、ですね。 「さ、て――」  頭の中を整理して、整頓して、推理。清水がいくら引っ張り事案で、臆病で、何もかも断れないような女の子だとしても、こうまで宮沼の扱いを受けて黙っているわけもない……ですね。  けれど、だからっといって何なのでしょう。二人の間には確実に上下関係があります。  しかも、その上下関係はいきなり発生したようです。……何故。  これは、もう少し様子を見てみましょう、ということにします。  携帯電話。そのアイテムは、あまりに便利で、あまりに、危険。あんな小さな端末で、人は左右されます。不思議なものです。それだというのに、誰も危機感を抱かない。疑問は尽きません。  ゴスロリ服をふりふりと揺らしながら家に帰宅すると、いつものようにメールチェックを行います。なによりも、大切なことです。メールチェックを行わないと、そわそわ、です。情報がなければ、私は苦しいのです。  最近は平坦なことばかりで、どうにも刺激が足りません。ですけど、一応宮沼と清水の件だけは、知り尽くさなければならないと思っているので、二人のメールには注目しています。いえ、注目せざるを得ないといえます。
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