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 知るばかりの私の心が、少し、動いているからです。  色々と、思うところがあるのです。  どうやら、清水は宮沼に脅されている、といった感じです。何がどのように脅されているのか分かりません。清水の何を知って、脅しているのか分かりません。ただ、宮沼は、清水が微かに反発した時に『前言ったようにしていいのか』と、切り札を潜めているようなメールを返しました。これは、明らかに宮沼は 清水をいいように使える何かを知っている、持っている、その類です。清水はそのメールの後、素直に宮沼の言うように従っていますし。それにしても、宿題を見せろ、掃除当番を代われ、言うことを聞け、といった脅しと言っても軽度なものばかり。  いかにも、小学生です。  ここで、性的関係を求めたり、お金を取ったりしないのは、まさに若さ――いえ、そこまでいかない脅しということです……? 分りませんけど、ある程度の事までしか、宮沼は命令しないようです。  さすがに、犯罪の域まで達していたのならば、とてもすごいことになっていたのでしょうけど、そこまでではない。 「……です」  宮沼、清水間のメールを一気に開く。命令、受理の連続メール。清水が臆病な女の子でも、少しは反発してもいいと、私は思うのです。  脅されているとしても、これはひどく理不尽です。私は彼女ではありません、そして彼女は気持ちを自分の中に仕舞い込んでしまうようなタイプです。だから、私のメールやパソコンでの情報収集では、彼女の気持ちまで知ることはできません。私は、ある程度の気持ちをメールで知ることができます。けれど、清 水のように、自分の気持ちを一切他人に言わないようなタイプの子は、どうしようもないのです。人の心の中は、ネット回線で繋がりません、だから、調べることは叶わないのです。当たり前、ですけど。知りたいことが、知ることができない歯痒さは、言葉では表し切ることができません。  知ることができないなら、察するしか出来ないのです。  本人に聞くというのは、愚の骨頂ですから。私は、知るだけですから、関わることは嫌なのです。  清水は……です。何なのでしょう。何で、宮沼に……。  考えて、考えて、考えているうちに……私は、眠りに落ちました。
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