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小学生、という立場の私は甲斐甲斐しく学校に通います。それなりに充実した学校生活だとは、思っています。親友といったような存在はいないのですけど、それでも、私はたくさんのことを知っているからいいのです。気にすることがない、困ることがない、分からないことがない、それで十全です。
その、小学校の昼休み、私はよくゴスロリ服の姫袖を振り振り、スカートをふわふわさせながら小学校内を散歩します。暖かい日などは、とても気持ちがいいです
ただ、今日は気持ちがいいものではなかったです。
偶然、宮沼と清水が校舎裏で話している姿を目撃したのです。私はとっさに身を隠して、聞き耳を立てました。それこそ、条件反射のように、です。
都合のいいこともあるものです。
そのまま、私は二人の話を聞いていました。
聞くだけの、つもりでした。
たったそれだけのつもりでした。
私は知る。それを求める。そこにある情報を何としてでも手に入れたい、そういう欲望を抱えています。
そういう人間。だったはずなのですが――
聞くところ、清水はもう宮沼の言うことを聞くのが嫌だという話のようです。やはり、反発した、ということです。清水はもう疲れた、と涙交じりの声で宮沼に必死に訴えています。ですが……宮沼は全く応じようとしない。それもそうです。今までメールを見てきた限り、宮沼は完全に味を占めています。そう簡 単に「ごめん、もうやめる」という風にはなりません。
ただ、その時、もう疲れたという清水の言葉が私の心を揺らしました。ぐらり、とですね。
「……です」
私は姫袖をきゅうと握り、二人の話を聞き続けようとするのですが、どうも気が滅入っていきます。
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