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「おい、お前――」
「……宮沼、龍太。平成七年十月十五日生まれ。O型。名前の龍は祖父の龍吉から。父親の名前は康平、母親は耀子。……と、そういうことでは、ないですね。……もう、見たくもない、知りたくもない、です。知りたいけど、知りたくない。そんな感じ……です」
自分でもよく分からないのです。恐らく、知りたいのにも関わらず、清水が、過労死した父親と被ったのかもしれません。知りたいけど、見たくないといったところですね。
「清水を……盗撮写真で、脅していましたね? でも、もう……無理です。あなたのパソコンは、もう、使い物にならない状態、ですから」
瞬間、脅していた事実と、パソコンの破壊を知らされ、変な表情をする宮沼。それも、そうですね。訳が、分りません。
「……不快。ですから、今すぐ、清水のもとへ行って、謝り……脅しは、もうやめる。約束して下さい」
「おい、そんな――」
「宮沼。選択肢は……ない、です。もし、そうしないのなら、宮沼が清水にしたように、私も宮沼を、脅し……ます」
私は、既に宮沼のことは調べ上げているのです。そう、完璧に。
「なにを、だよ?」
「五月二十八日、スーパー『春吉』でお菓子と漫画単行本を万引き。六月二日、本山電気店で新作ゲームを万引き。六月七日、コンビニ『ファミ――』」
そこまで言ったところで、宮沼の顔は真っ青に染まっていました。言葉も、口から出てこない。そういった具合、です。
「……ということ、です。もう、言う必要はない、ですね。では、言ったとおりに……してください。それと、……私がこういうことをしたことも……秘密で」
そのまま、私は宮沼の返答を待たずして、教室へと向かう。もうこれ以上、関わる必要は、ありません。
これで、終わりですから。
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