聞き覚えがあんだよな 弐

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『菊崎~、菊崎~。』 車内にアナウンスが流れ、ブレーキがかかる。 外を眺めていた俺の視界の端に、乗り込んできた人が入った。 思わずその乗客に顔の向きは変えずに目線だけを向けた。 200㎝はありそうな長身の南米系の男で、歳は60代前後といったところだろうか? 5㎜程の坊主頭と不精髭は、白髪に変わっている。 黒い肌に黒のトレンチコートが、妙に目を引いた。
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