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白亜に引きずられ、再び謁見室に戻った。
彩国国王が、驚いた表情で俺達を見ている。彩国国王が口を開く前に、白亜は告げた。
「私も、シオン様と共に鋼へ参ります」
彩国国王はもちろん、場にいた重臣達も驚いた。
「ならん!」
彩国国王はなかなか威厳ある態度で白亜に言ったが、白亜はにっこり笑ってみせた。
「あら、陛下はシオン様と私を結婚させたいのでしょう?私、シオン様と片時も離れたくありませんの」
絶対嘘だ。
なるほど。この為に俺を連れて来たのかと、納得する。だが、危険かもしれない所に白亜を連れて行きたくはない。本当は、紅だってきてほしくないのだ。
「駄目だ」
俺は、はっきり言った。
「どうしてですの?」
「お前の安全を保証してやれない。俺は、白亜が大事だ。…針にはない概念だが『妹』みたいに思っている。危険な目にあわせたくない」
「私、自分の身ぐらいは守れますわ。水都もいますし」
「…死ぬときは、一瞬だ。少なくとも、お前はそれを知っているだろう?」
たとえ、守護精霊がいたとしても。
紫苑は死んだ。
「シオン様は、精霊すらいないでしょう!私は絶対行きますわ!シオン様が本気で白亜を妹と思うなら、私を守ってくださいませ!」
「…ぷっ」
面白い。
「ふっ、アハハ、アハハハハ。あー、なぁ、彩国国王さんよ。どうにもこの国の女は強ぇなぁ。勝てる気がしねぇ」
ゲラゲラ笑う俺を、皆不思議そうに見ていた。彩国国王だけは、がっくりした様子だ。
「私の身内の女性陣が強すぎるだけだ。この国の女性全てがこんなじゃない。…好きにしなさい。ただし、護衛はつけるよ」
「お父様!」
ぱぁっと嬉しそうな表情の白亜。
「じゃあ、準備してきますわ」
と言うが早いか、凄い速さで走り去ってしまった。
「ちなみに、護衛は…」
「朱里と朱花だよ。あの2人は、武力的に彩国1の契約者だからね…済まないな。うちの女性陣が…」
かなり疲れきっている様子の彩国国王に、
「ああ…本当に大変なんだな。アンタ」
かなり同情した。
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