第1幕

2/10
前へ
/296ページ
次へ
 懐かしい、夢をみた。 『ねぇ、私たち、ずっとずーっと友だちよね』  美しい花畑で、花のように幸せそうに笑う、私の友人だった人。  ゆるいウェーブの青銀の髪。紫水晶を思わせる、深い紫の瞳。  彼女はもう、どこにもいない  感傷的な気分を振り払い、部屋のカーテンを開ける。  朝日が眩しい。今日もいい天気だ。  これから、また1日が始まる。  私の名前は紅(クレナイ)=ランフォード。  今年で512歳。  この国で最も高齢で『炎の魔女』と呼ばれている。  現在はこの彩国の姫である、白亜姫の教育係をしている。  12歳のあの日、私の運命は変わった。  私の身体は12歳で時が止まっている。それから500年を生きた。
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!

431人が本棚に入れています
本棚に追加