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「ぼーっとしてないで、お皿並べてよ」
茶希の声で、現実に引き戻される。少し心配そうな表情。
「わぁ、おいしそう」
心配させないよう、笑顔で言われた通りにお皿をセッティングしていく。
我が息子ながら、良い子に育ったものだ。
ふと、もう1人の息子同然の同居人が居ないことに気付く。
「朱里(シュリ)は?」
「多分、まだ寝てるんじゃない?あ、いいよ、母さん。僕が起こす」
時計はまだ7時。とはいえ、そろそろ起きた方がよい。やはり起こしに行こうかと考えていると、話題の主が下りてきて…
ごす。
…壁にぶつかった。
………………………。
流れる沈黙。何事もなかったかのように、テーブルにつく朱里。
「…おはよう、大ばあちゃん、茶希」
朱里はいつものんびりした口調で喋る。先程、壁にぶつけたおデコが赤い。
「おはよう、朱里。痛くないの?」
「……痛い」
まぁ、痛いよね。すっかり寝ぼけちゃって。
茶希はいつの間にか席を立ち、布を濡らして持ってきていた。朱里に差し出す。
「当てとけ。赤くなってる」
「…ありがとう。…冷たい」
変わらない毎日。2人が来てから、いつもこんな調子。
朱里は私の妹の子孫だ。他にも何人かいるのだが、職場から近いので、この子だけ同居している。
私と同じ銀の髪と、青い瞳。髪は短く切り揃え、背がかなり高い。穏やかな顔立ちで、いつも眠たそうにしている…実際眠いのかもしれない。城の近衛をしており、かなり筋肉質だ。
私のことは、いつも大ばあちゃんとよんでいる。
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