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偽りと真実は似て異なるもの。
ここで働く『女性』たちは皆、身に染みて体感している。
だからなのか、私の似て異なる名前たちはそんな矛盾をも表しているようで、時々無償に虚しくもなるのだ。
それでも、私は私らしく在るためにも、偽りの名前で呼ばれながら、この世界から抜け出すことも出来ずに、きっと一生ここで働いていかなくてはならないのだろう。
ふと、過去の自分を振り返ってみたことがある。
私は多分、物心ついた頃から女だったんだと思う。
それでも幼少時代にあまり浮いた存在にならずに済んだのは、多分特別な自覚がまだ無かったから。
気持ちは女だったといっても、小さい頃は特にフリフリのリボンやピンク色が好きというわけでも無かったし、男の子と外で遊ぶことも別段苦ではなかったからだと思う。
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