第一章 胎動

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同日、1730時 《神聖都ジン》大神殿前広場 「今日もまた太陽が落ちようとしています。 平穏と充実の一日を過ごせた事でしょう。 ……」 大神殿前の広場の中心で一人の女性が、周りを囲む住民達に広く遠くまで通る高い声で話していた。 純白の法衣に身を包み、腰の辺りまである流れるような金髪。 綺麗に整った顔立ちは見る者全てを美しいと思わせるような女性だった。 頭には略式の王冠らしき物を乗せている事からかなり位の高い司祭だと見受けられる。 街に着いたシルドは広場の方が騒がしいの気が付いた。 そしてその中心にいる女性を見つけるとその場から飛び出すように広場へと走って行った。 「……あいつ!!」 人をかきわけるように中心へと向かって行く。 すると突然後ろから肩を掴まれ、足を止められた。 「おい……シルド。わかっているな? 今回の任務を……」 後ろからの小声で先程の長身の男だと、気付いたので振り返らなかった。 「わかっているさレイブ。少しあの女を見つけて頭に血が登っただけだ……」 シルドは長身の男レイブに向かって言うのではなく、憎しみを浮かべた顔で中心の女性見つめたままだった。 「おい!セルシラ最高司祭様の有りがたいお話だ。 静かに聞け。」 騒がしくしていた為、二人に横にいる男性から小突かれ注意を受けた。 「最高…司祭様ね……」 シルドは軽く失笑をしつつ広場から離れて行き、レイブも後に続いた。 (セルシラ……必ず殺してやる!!)
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