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十数名の兵士に囲まれながらも応戦していたが、圧倒的な数の差が徐々にシルド達を追い詰めて行く……
隙を付かれ腕に軽く剣筋が走ると、思わず手にしている剣を落としてしまった。
直ぐ様、剣を拾い立て直そうとした時、背後から仲間の断末魔が響き渡った。
(こんな所で死ねやしない……オレにはまだやるべき事が!)
死をも予感した。
しかし、後方から数名の叫び声が聞こえ、その思いを打ち消される。
シルドは背後に凄まじい殺気を感じ、振り向こうとした瞬間、目の前を漆黒の何かが駆け抜けて行った。
駆け抜けた何かを眼で追うと、敵兵に向かうレイブの姿があった。
自らの長身を超す2mもの大剣を片手で楽々薙払い、全ての兵士を一撃のもと倒していく。
そして、【元】兵士達は人ではなくなっていた……
「……大丈夫か?」
レイブの声を聞き助かった事を実感すると、途端に脱力感が襲い、思わず膝が落ちてしまった。
「この場所でまたアンタに助けられるとはな。」
荒い息遣いをしながら、シルドは皮肉とも受け取れるような言葉を返した。
「あぁ……確かここだったな。」
思わず苦笑したレイブは大剣を担ぎ直し、顔に付いた返り血を拭き取った。
レイブは辺りを警戒し見渡し伺う。
そして負傷しているシルドに肩を貸した。
「……一人か?」
レイブの問いに思わず顔を伏せた。
「そうか……急いで脱出するぞ。
目標を発見し、任務完了だ。
街の外で落ち合うぞ。」
シルドは相槌を返し、二人は来た道を引き返して行った……
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