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「仕事場の方でUTOPIAの設立者の子供が行方不明になったという話を聞いてな、気になって色々調べてみたんだ。これは警察が管理している個人データでな、イサルというのは偽名で本名は勅使ヶ原末吉と言うんだ。UTOPIA設立者、権蔵の一人息子だ」 「はい、それがどうかしました?」 「どうしたって!…親をそんな目に遭わされたらどうする!?」 「どんな事情があろうと、僕は例外を作る気はありません」 雨月は赤いジャケットのポケットから煙草を取り出し、一本火を付け、煙を吐き出した。その煙が今佐人の顔に掛かり、しかめっ面で「もういい!それに吸うならあっちで吸え!」と、雨月は部屋を追い出されてしまった。 (はぁ~…親だからって、悪党には変わりないのに…) 雨月はドアに凭れながら呆れつつもどこか悲しげな表情している。
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