recipe1

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一方この時、自室の壁に耳を当てているイサルがいた。     ЯЯЯ     深夜。 雨月と今佐人は、末吉が眠ったのを確認してからこっそりアパートを出て、UTOPIAの裏口付近まで来ていた。 雨月だけ車から降りて「楽しみに待ってて下さいね」と、笑みを残して裏口へと入って行く。 通路の両端には幾つもの段ボール箱が並べられていて狭く、蛍光灯が切れかかっていて非常口の看板がチカチカと緑色の光を怪しげに放っている。 足音を立てずに通路を進み、エレベーターで地下へ。 前回同様、扉の両側に立っている黒スーツの男性を声を出させないよう瞬時に気絶させる。 そして、目の前に続く薄暗いコンクリートの廊下をわざとヒールの音を響かせながら、黒革のグローブを嵌めつつ歩く。顔を綻ばせながら。
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