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「今佐人さん?」
雨月が後ろを振り向けば、部屋の入口に今佐人が立っていた。
「…その人を殺すのだけは止めろ」
「それは出来ません。例外を作る気なんかありませんから」
そう言いすぐ権蔵に向き直る雨月に、今佐人は間髪を容れずに言う。
「もうすぐ警察が来る!」
「…今佐人さんが呼んだんですか?…」
今佐人の言葉に雨月は振り向き、柳眉を逆立てたような顔をしている。
「ああ、だからお前はもう行った方がいい」
「…分かりました…」
渋面で雨月は刀を放り投げ、部屋を出て行く際に「どうぞお楽しみ下さい」と、今佐人の顔間近に言い捨てて行った。
それを無言で受け取り、今佐人は末吉に近付いて行った。
「これでお父さんは殺されはしない」
「…ありがとう…」
末吉は涙ぐんで礼を言った。
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