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ウィースと返事をした末吉に対して、雨月は灰皿片手に無言で窓辺へと行く。
外は先程よりは幾らかマシにはなったが、まだ生温さを感じさせている。
こんな建物が建ち並ぶ地帯でも夕方頃になれば、たまに蜩(ひぐらし)の鳴き声が聞こえてくる。
暗い空に浮かぶ月を見つめながら煙草の煙を吐いていると、キッチンからトマトなどが盛り付けられている素麺が入った器を両手にルンルンとしながら戻ってきた末吉。
そして「いっただきまーす!」と、元気いっぱいの声が部屋に響く。
それに対して隣に座りお茶を飲む今佐人は顔を一瞬顰め、溜息を吐いた。
素麺を啜りながらそんな今佐人を見て、?マークを浮かべる末吉。
「…あっ、そーいえばさ、今日帰りにすごっいの見てさ~…」
「喋るなら食べ終わっ…」
「死体!オレ、死体見ちゃったんだ!」
「「……!!」」
今佐人は言葉を遮られたが、末吉の言った事に雨月共々言葉を無くした。
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