recipe2

8/23
前へ
/121ページ
次へ
最後の雨月の質問にもそう答えてしまい、今佐人が顔を上げた時既に遅く、雨月は綺麗な作り笑顔と棒読みで言った。 今佐人はウッと詰まり、雨月をこれ以上怒らせないよう当たり障りのない返事をして、「行ってきます」と出て行った。が、何かを思い出したのかひょっこり顔だけドアから出して「末吉を学校に行かせるように起こしておいてくれ」と、一言だけ言って行ってしまった。 そのドアを見つめながら真顔に戻った雨月は微笑し、再びテレビに目線を移せば、蒼珠(ソウジュ)と言う名前の黒い着物に黒い布で顔を隠した霊能力者がゲスト出演する、話題の人を紹介するコーナーが始まる所だった。 「………」      ЯЯЯ    薄暗い室内に漂う薬のような匂い。 大きな棚の中には理科や化学などで使うフラスコ、試験管、ビーカーなどの道具がたくさん並べられており、机の上には顕微鏡と透明な液体や赤い液体などが入った試験管が並べ立てられている。その周りには分厚本が重ねて無造作に置かれている。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加