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最後に短く溜息を吐き、雨月は先に行ってしまった今佐人の後を追った。
裏口から中に入り、雨月の案内で例の部屋まで行く。
ドアの隙間から光が漏れており、耳を当ててみれば人の声がしている。公彦と丹胡のものだ。
雨月と今佐人はドアの左右に分かれて立ち、両手に黒皮のグローブをはめ終えた雨月が灰色のドアを開けると、錆付いた音が響き渡った。
「こんばんわです」
人の良さそうな笑みを浮かべ言う雨月。
キョトンとしてこちらを見る公彦と丹胡。
その立ち位置や雰囲気からして良くない場面に飛び込んでしまったらしい。
「…な、何だ貴様らは!!」
「……貴方っ、昨日のお客さん…」
「覚えててくれたんですね」
「ええ、行動が、その、キョロキョロしていたので、ちょっと…」
「印象に残っちゃってましたか…」
『いけない、いけない』と、手を額にやりながら苦笑いをする雨月。
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