WIND

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「十代目、こんな奴ほっといて早く帰りましょう。」 綱吉の手を引き、急かすように歩く少年。 「ちょっと待ってよ、獄寺君。まだ帰る用意が…」 獄寺と呼ばれた少年は、如何にも申し訳無さそうな顔で謝りながら綱吉の手を離した。 「そんな急ぐ必要ねぇって。なんたって、当の本人は…」 獄寺は、言い掛けた言葉を紡ぐのを止めさせようと、手で口を塞いだ。 「馬鹿野郎。台無しじゃねぇか。」 「悪りぃ、悪りぃ。」 獄寺の忠告も酷と受け入れず、反省の色も見せなかった。 「あのさ…獄寺君も山本もどうしたの?」 暫くの沈黙があった。まるで時間が止まったような、そんな感じだった。 「何でもねぇって。」 山本と呼ばれた少年は何時もの楽天さで笑い飛ばす。獄寺は、ふてくされた様によそを向いた。
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