雪なる花

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   廻生は『村』を歩く。  『村』は広くない。端から端まで歩いても、五分もかからないだろう。  家というには、質素な建物が七軒~十軒ほどポツポツと連なる。  家庭菜園のような畑には、些細な野菜が栽培されている。 「……この『村』は、マシな方……かな……」  ニワトリが数匹、トテトテと歩く姿を見て廻生は呟いた。  ある『村』は畑も家畜も無く……ただ滅びるのを待っていた。今はもう、あの『村』には誰も住んでいないだろう。 「……旅人か……珍しいな……」  銀の髪をキラキラと輝かせた四十代前半くらいの男性が、廻生を見て呟いた。 「……すみません。お邪魔しています」  廻生が会釈をすると、男性は優しく微笑んだ。  それは四十代前半の雰囲気では決してない……どちらかというと、『死』を身近に置く老人のよう……。 「貴方は、どうやって野獣を?」 「……遭遇しないように、気をつけています。遭遇してしまったら、これを使います」  そう言って、廻生はマントに隠された刀を見せる。 「ほう……刀か……」 「あとは、小型ナイフに毒を塗って投げたりですね……」  廻生がそう説明すると男性は廻生を見る。 「どうして、旅をしているんだ?」  男性はゆっくりとした声で聞いたのだった。  
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