雪なる花

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  「『あるモノ』を……探しています」 「何かは、聞かないが……ソレを見つけ出す当てはあるのかな?」 「……いえ、全くありません」  そう言って顔を横に振る廻生を見ると、男性は空を見上げた。 「貴方は、『魔女』を知っているかな?」  笑顔で廻生を見ると、男性はゆっくりと歩き出す。廻生は置いていかれないように、男性を追いかけた。 「……文明を失わせた?」 「ああ、そうとも……言われているね。どんな力を持って文明を失わせたのか、今となってはわからないが……」  男性は、ある家の前で足を止めた。そして、廻生の方へと振り返る。 「私は、その『魔女』の血を引いているらしい……今年で齢八十になるが見ての通り……だ」 「実在していたのですか……」  廻生は驚きの声を上げる。ある村で『魔女』の話を聞いた時は、『口伝』上に出てくる伝説上の存在だと思っていた。 「……私が受け継いだモノは、不老なのだろう……いや、少しずつ老いているのだからそれは違うだろうな……」  男性は家に入り、男性の手より少し大きい紙を数十枚持って出てくる。 「ソレは……?」 「『クリサンセマム』という占いに使うカードだよ……母に仕込まれて、占いは得意でね……よかったら、貴方の行く先を占おう」  そう言うと、男性はその紙――『クリサンセマム』を扇のように広げた。 「……お願いします」 「そう気負わなくてもいい……道楽の占いだ。軽い道しるべだと思ってくれさえすればいい……」  
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