ある咎人の話

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 その男は今も尚、捕まりもせず死にもせず、この世に蔓延っていた。  脱獄をし、自らの子の命を手にかけても罪の意識は無く、国中を渡り歩いていた。  痩せこけた頬。無精髭が伸びきった顎。平均的な身長。いやらしい笑み。  もし見掛けても、決して近付かないで下さい。  彼は現実と夢の区別がつかないのですから。
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