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「あら輝。こんな所で何をしているの…?」
小さな街の小さな公園の、雨上がりの小さな砂場
そこに輝はいた
ふと自分を呼ぶ、聞き慣れた声に輝は砂をいじっていた手を止めて声の主を見上げる
そこには太陽の光にキラキラと反射して風に靡く、そんな美しい桃色があった
「何をしているのと聞いているの」
話を聞いていないことを咎めるような、それでいて決して強い口調ではないその言葉に桃色に見取れていた輝はハッと我に返る
「…静祈」
「私の話を聞いていたの?」
「あ?うん」
何度目かの同じ質問にへらりと情けない笑みを浮かべて返す輝を静祈は呆れたように見て溜め息を吐いた
「お城を…作ってた」
そうポツリと呟いて笑う輝の手元には城と言うには程遠いような砂の山
ただ砂を盛ったような―――城よりもトンネル向きな―――そんな山が存在していた
「何故こんな雨上がりの日に?」
靴やズボンや手、さらには顔まで泥で汚した輝
静祈はそれを文句を言いながらも洗濯する美咲を想像して僅かに同情した
そして同情よりも面白さが勝ったのは静祈だけの秘密なのだが
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