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どこに行くの?
『クエストをします』
『はい』
立ち上がり、座っている私に何か魔法をかけた。
『君を守ってくれる魔法だよ』
途端に、昼間のソロでの戦闘を思い出して、なぜか涙が出てくる。
不安だった気持ち。
ゴブリンに攻撃された時の恐怖感。
そばにいて欲しかったョ…
いつでも守って欲しいの…
それなのに
上手くチャットが出来ない。
どうしてこんなにとろいのだろう。
もっと言いたい事いっぱいあるのに。
何も言えないまま、ただ置いていかれないようにひたすら後をついていく。
時々立ち止まって振り返り、ちゃんとついて来てるか確認して、迷っていると迎えに来てくれる。
そんな些細な事にも、胸いっぱいの喜びと安堵を感じる。
バスカル3地区を何度も移動し、無事にクエストを終えた。
何をしているかさっぱりわからなかったけど、いまゲームの世界で一緒にいるのね…
まるで本当に目の前にいるかのように感じて、知らず知らず口元がほころぶ。
このファイタ-は私の分身なのョ…
まだまだ弱すぎだけど、こうして一緒にいられて幸せョ…
キャラクターは何も語れないけれど、そんな思いを込めて、目の前のクレリックを見つめていた。
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