~そしてバスカルアック~

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  『なんで  いるーああと一緒に  やらないの?』     核心をつかれた気がして息をのんだ。   私だって…私だって一緒にやりたい! だけど…できない! できないの!   『ごめんなさい  このキャラクター  いるーああ知りません』     そう。 このクレリックを作った事は、彼には知らせていない。 私が内緒で作ったキャラクターなのだ。 彼は私のファイターしか知らない。     『なんで?』     この人に話してもいいのだろうか。 この人に私の気持ちが理解できるんだろうか。   彼に話してしまわないだろうか。     様々な思いが交錯して返事ができない。     どうしてこの人に彼の名前を言ってしまったんだろう。   今のは嘘です!って言おうか。     思いがけない出来事に私の頭の中は混乱していた。     メイジはしばらく黙っていたが、何も答えない私の様子に、何かを感じ取ったらしい。   『ごめんなさい  いいた弓ないなら  無理に話ししないでも  いいから』     何故だろう。 この人に嘘はついてはいけない… そんな気がする。 ほんの少しのチャットなのに、定型文の組み合わせのチャットなのに、何故か温かさを感じる。 親しみやすさを感じる。   普段の私なら、簡単に心を開く事はないのに、この人にだけは警戒心がなくなっていた。  
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