~フレンド・1~

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ラプトのNPCから記念アイテムのメモリアルクラウンを貰い、装備した状態で話しかけると、一日一回アイテムが手に入る。 またこの期間は店売りのアイテムが30%Offの価格で購入できて、さらにモンスターからのドロップ率も上がるという二重三重の喜びがあるらしく、周りのプレイヤー達がうるさい位にチャットしている。   私はのみぐすりを手に入れる事ができた。   『何がきた?』   『のみぐすり』   『君にはまだ必要ないから 売りだなあ』     この言葉を見たとき、私の虚しさの一端がわかった気がした。   私は彼の住むエターナルの世界では、《君》なのだ。 周りにいる人達となんら変わらない、ただのプレイヤーのひとりにしかすぎないのではないかという不安と淋しさ。   Dとの出会いによって、私は名前で呼ばれる嬉しさを知ってしまっていた。     『どうしました?』     なんて伝えればいいの? なんて言えばいいの? きっとわかってもらえないに違いない。     黙ったままの私に彼が告げる。     『フレンドから  手伝ってくれませんか  きたので  ちょっと行ってきます』     フレンド…     私は   彼の   フレンドでは   なかった。      
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