~フレンド・1~

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エターナルのフレンドの存在については、私がエターナルを始める前から何度か聞かされていた。   店では売っていない貴重なアイテム…レアアイテムを手に入れる為には不可欠の存在。   ソロで倒す事が不可能なネームドモンスターからのドロップアイテムを手にする為に3人でパーティを組み戦う。   そして、ターゲットが取れなかったり負けてしまった場合は次のPOP時間まで待ち続ける。     そう…   私も待ち続けていた…   彼からの連絡を。     苦い思い出がよみがえる。   また待つんだ… 前と同じだ。 エターナル始めたら少しは違うかもしれないと思っていた私が甘かったのだ。     エターナルのフレンドに彼との時間を奪われているような、そんな淋しさが押し寄せてきていた。     そんな私の心など知るよしもなく   『じゃあ行ってきます  レベル上がんばれ!』   そう言い残し、若草色のローブのクレリックは、装飾品店の後へと去って行った。     何も言えなかった。 行ってらっしゃいも、頑張れも…言う事はできなかった。   パーティチャットでしか話す事ができない私。   パーティは解散されていた。   ふと思いつき、彼が向かった店の裏側に行ってみたが、座ったままのクレリックは私の目の前で消えた。  
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