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きっとファイターでインするのだろう。
いずれにしても、もう私にはわからない所に行ってしまったのだ。
このままラプトの街にいても仕方ない。
オフラインしようかな…そう思いながら電源ボタンに手をかけた時、彼の言葉が頭をよぎった。
(レベル上頑張れ!)
そうだ。
淋しいなんて言ってる場合じゃない。
速くレベルを上げて、一緒にいられるようにならなくちゃ。
きっと彼も喜んでくれるはずだ。
そう自分に言い聞かせ、私もまた、キャラクターをファイターからクレリックへと変更した。
昼間、Dに教わったショートカットを思い出しながら、キーを押して確認する。
『のの♪』
突然ログが流れた。
Dからのフレンドチャットだった。
『こんばんは』
胸の中がほんわか温かくなるのがわかった。
『何してるの?』
『教えてもらった
ショートカット
練習してた
の』
『!』
『そうか
のの
君は
素直なぁ女の5だね』
思いもかけない言葉に何を言われているのか、まるでわからなかった。
『私は仕事で
いろいろなぁ人に
会うから
話しするだけで
大たいの人の事
わかります
ののは
素直でいい5だね』
戸惑う私に
『ののを
きっと 強そうですクレリックに
してあげるから』
彼とラプトで会ってから感じていた淋しさが少しずつなくなっていくようだった。
そうだ。
私にもフレンドがいる。
こうして励ましてくれるフレンドがいるんだ。
その思いが私の心をちょっとだけ強くした。
きっと
きっと
私のレベルが追い付いたら一緒にいられる…
きっと
きっとネ…
私の胸が希望で膨らんだ。
その希望が自分自身を苦しめるとも知らずに…
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