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誰だろうと思い、声のした玄関の方を見ます。引き戸タイプの玄関には、磨りガラスが嵌められていて、前に立てば小柄な人でも影が見えるはずです。しかし、そこに影はありません。
変だな?、と思っていると、また、
「開けてくいやらんけ?」
お願いしますから、という気持ちがこもった言い方なので、開けてあげようかな、と一瞬だけ思いましたが、いいや明らかに何かが変だと思い直します。
それと同時に、例えようのない恐怖感が、彼の中に湧きあがります。
きっと外にいるのは、この世のものじゃない!ユーレイってやつだ!一体何しに来たんだ。子供ながらに考えますが、見当もつきません。
とりあえず、布団にもぐって耳を塞ぎます。
恐怖で肩が震え、呼吸と鼓動がいつもより早くなっています。
声は一定の間隔で続きました。
「開けてくいやらんけ?」
「開けてくいやらんけ?」
早くどこかへ行ってくれ!早く!消えろ!消えろ!消えろ!・・
ギュッと目をつぶり、心の中で叫び続けました。
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