0人が本棚に入れています
本棚に追加
どのくらい時間が経過したでしょう?
声がしなくなったなと思い、目を開けると弟たちの顔がそこにありました。
「何だ、いつ帰ってきた?」
ダルい身体を起こしながら訊くと、弟たちは不思議そうな表情をして言いました。
「今帰ってきた所なんだけど、お兄ちゃん、誰としゃべってたの?」
えっと思い、どういうことなのか問いただすと、弟たちは今あったことを話し出しました。聞き終えて、Hくんの顔は一瞬で青くなりました。
弟たちが帰ってくると、家の中から兄のHくんと誰かの話声が聞こえます。両親の車はなかったので、友達でも来ているのかと思ったそうです。玄関を開けると座敷の布団で兄はきちんと寝ていて、家の中には兄以外誰もいなかったといいます。
つまり、Hくんが睡魔に負けて眠ったすきに、何者かが鍵のかかった家に侵入して、その何者かとHくんは会話を交わしていた。何者かとはあの『開けてくいやらんけ?』という声の主でしょう。
一体、あの声は何の目的で現れたのか?そして、Hくんは声の老婆とどんな話をしたのでしょうか?
最初のコメントを投稿しよう!