第1話 こえ

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どのくらい時間が経過したでしょう? 声がしなくなったなと思い、目を開けると弟たちの顔がそこにありました。 「何だ、いつ帰ってきた?」 ダルい身体を起こしながら訊くと、弟たちは不思議そうな表情をして言いました。 「今帰ってきた所なんだけど、お兄ちゃん、誰としゃべってたの?」 えっと思い、どういうことなのか問いただすと、弟たちは今あったことを話し出しました。聞き終えて、Hくんの顔は一瞬で青くなりました。 弟たちが帰ってくると、家の中から兄のHくんと誰かの話声が聞こえます。両親の車はなかったので、友達でも来ているのかと思ったそうです。玄関を開けると座敷の布団で兄はきちんと寝ていて、家の中には兄以外誰もいなかったといいます。 つまり、Hくんが睡魔に負けて眠ったすきに、何者かが鍵のかかった家に侵入して、その何者かとHくんは会話を交わしていた。何者かとはあの『開けてくいやらんけ?』という声の主でしょう。 一体、あの声は何の目的で現れたのか?そして、Hくんは声の老婆とどんな話をしたのでしょうか?
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