白い手紙

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  そしてねむくんはむにゃむにゃと話し始めます。 いえ、ねむくんはいつだってむにゃむにゃと話すので、いつも通りなのです。   ねむくんによると、夢の配達屋は、昔は“ちゃんとした”手紙の配達屋さんで、誰かの手紙を誰かに届ける役割を果たしていたそうです。 ですが、いつの間にか配達員はいなくなり、誰かに手紙を届けることは出来なくなってしまったのです。   それからしばらくして、誰もが自然とその配達屋を忘れてしまった頃、手紙の配達が、再開したそうなのです。 それを、誰からともなく“夢の配達屋”と呼ぶようになりました。   ただし、その配達に配達員はいません。配達員は必要ないのです。 なぜなら、“夢の配達屋”は手紙の受け取り人を夢の中に呼び、現実へと持ち帰ってもらうのですから。   それに何より……いえ、これは後にしましょう。  
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