白い手紙

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  そして朝になりました。本当は夜中なのだけれど、ねここさんにとって今はれっきとした朝なのです。   そして、起きたねここさんが最初に見たものは、寝室のテーブルの上に置いてある一通の手紙だったのです。 夢の中であったこと、ねここさんはもう覚えていないみたいだけれど、大丈夫かしら?   「よし、もう開けちゃおう。手紙とにらめっこしてたって仕方ないわ!」 とねここさん、封筒を破いていきます。気を付けてね。手紙まで破ってしまわないで!   ねここさんは、どこか気恥ずかしそうに手紙を読み始めました。少しだけ、読ませてもらおうかしら。   『                      』 あら?白紙だわ。でもねここさんはちゃあんとこの手紙を読んでいるみたい。   「懐かしい……。」 ねここさんは手紙を抱き締めると、目に涙をいっぱい溜めて呟きました。       この手紙は、自分から自分への手紙なのです。“夢の配達屋”は思い出を届ける配達屋さんなのですから。   だから、配達員はいりません。白い手紙と、白い封筒。それだけで十分。あとは思い出が、そのひとを訪ねて行きます。   夢の中では、時間は力を持ちません。だからこの配達は夢の中でしか出来ないのです。  
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