白い手紙

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  でも、今日が何の日か、ねここさんが思い出してくれてよかったわ。   「こうしてはいられないわ。早く用意をしなきゃ、間に合わないじゃない。」   ねここさん、そんなに慌てると危ないわよ。ゆっくり、ゆっくり。   ねここさんはさっそく、キッチンへ向かいました。腕によりをかけて、ねここさんはお料理を始めます。 何が出来るのかしら。ねここさんの作るお料理はみんな、すごく美味しいの。   それに今日は、10年に1度の大切な日だものね。   鼻歌を歌いながらの楽しい作業。私まで明るい気持ちになってきたくらい!   これはレモンティーとアーモンドパイの匂いね。甘くて、とても美味しそう。   ――コンコン 「こんにちは。ねここさん、いますか?」 お客さんが来たみたい。間に合ってよかったわね、ねここさん。   「はあい、待ってたわ。」 ねここさんたら、よく言うわ。   訪ねてきた思い出が、色褪せる前にたくさん話して、焼き付けてね。 新しい思い出も、きっと生まれるに違いないから。レモンと、アーモンドの匂いの中で。   「会いたかった!」  
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