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召還術は召還式と呼ばれる術式。魔法陣が複雑に成ればなる程、階級が高く力の強い“モノ”を喚び出す事ができる。
それと比例し、術者に求められる魔力と精神力も高くなるのだ。
門となる魔法陣が高度な物であろうと力量が伴わなわければ、いくら鍵となる呪文唱えても何も召還する事はできない。
中には命に危険が伴う、裏の方法も存在するが。
リゼルは若草色の眼をソフィアに向け、声を落とした。
「だけどさ。今、噂で持ちきりの“秘密の召還式”……、試してみない?」
ソフィアは眼を丸くして驚いた。にんまり微笑むリゼルと、言葉を無くしたソフィアが見つめ合う。
通っている学園に、召還式に関する話はある。だがそれは代々生徒間で語り継がれている話の一つに過ぎない。
連綿と伝わる話には尾鰭が付きやすく、信憑性がどこまであるか分からない。
そんな物に縋りたくなる気持ちは分かる。あの事を引き摺っているのは、ソフィアも同じだ。
だが、そんな物に飛び付くのはリゼルらしくないと、彼女は思った。
眉を潜めながら首を傾げ、ソフィアはリゼルに問う。
「それって……、七不思議の話だよねぇ……」
「そうよ。真夜中に秘密の召喚式で喚び出せば、どんな願いも叶うってやつ。あたし達にしか本の術式が見えないんだし、ビンゴじゃなあい?」
ソフィアに合わせるかのように、リゼルも首を傾げた。彼女の笑顔が今まで以上に輝く。
「ふっふっふ。喚び出せればシャルロットに仕返しができるわッ!」
リゼルは拳を握り、元気良く意気込んだ。
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