ラビユウ 死ネタ

2/3
前へ
/43ページ
次へ
  「ユウ、」   眼帯の男は、いつもの笑みを浮かべながらオレの髪に手を伸ばした。   「オレはさ、ユウ。教団を、裏切るかもしれない」   イノセンスとかエクソシストとか、その前に、オレは、次期ブックマンだから、と男は言った。   「…そうか、」   「だからさ、ユウ。ユウと、敵として会うかもしれないさ、」   「…そうだな」   「その時はさ、」   「安心しろ。叩き斬ってやる」   ユウらしい、と男は爆笑した。   「でも、嫌さ」   「あ?」   「イノセンスじゃあ、嫌さ。オレを殺すときは、」   男は、オレの角張った手をとり、まるで、それが雛鳥だとばかりに、柔らかく、口付けた。   「ユウの、この両手で、」   誰が何と言っても、ブックマンだから仕方がないと言っても、ブックマンだから生かしてやれと言っても。   「ユウの、この両手で、オレを殺して」           それが、男の、オレへの最後の願いであり、男とオレの、最後の約束であった。        男と、その師は、教団を出奔した。           あの会話の、一週間のことだった。       →
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加