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カイはアリスとの距離を詰めると、右拳を前に突き出す。
アリスは軽くそれを右に捌き、回し蹴りでカイの脳天を狙う。
カイは左手で受け流し、後ろに飛んで間合いを取る。
再び距離を詰め、蹴りを入れるが、アリスは半身になってそれを回避し、カイの鳩尾に拳を叩き込んだ。
「ゲホッ、ゲホッ!」
「防御が甘い」
(体術すら勝てないのかよ……)
カイの装着した籠手が橙色の炎を纏う。
その無駄の無い属性付加にアリスは賞賛する。
「なるほど、夏休みに入ってからの修行は無駄じゃ無かったみたいだね」
カイ達は帰郷までの数週間、毎日、修行を続けていたのだ。
「行くよ!」
カイは間合いを詰めると、アリスに拳を放った。
アリスは無駄の無い動きでそれを回避し続ける。
時折、蹴りを混ぜるが一発も当たらない。
(触れられればダメージを与えられるのに……)
カイは当てるのは無理でも、防御の上から籠手の炎でダメージをあたえようと考えていた。
しかし、アリスには触れる事すら不可能だった。
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