33688人が本棚に入れています
本棚に追加
(これ以外手は無いな……)
カイは一度後ろに下がると、アリスから距離を取る。
そして、アリスに向かって再び駆け出す。
アリスはカイの攻撃を回避しようと、拳を構え直す。
カイは両手の魔力を爆発させ、後ろに炎を噴射しながら前方に加速した。
「……!?」
カイは一気に距離を詰めると、アリスに拳を突き出す。
アリスは予想外の速度に驚いたが、右斜め前に踏み込み、寸前で攻撃を回避した。
「何っ!?」
カイの脇腹にアリスの容赦無い蹴りが叩き込まれる。
呼吸が出来ず、カイは胸を押さえる。
「ぐっ!」
「まだ半分程度の力しか込めて無いね?」
「見破られたか……」
「本気で来ないと私にはーー」
アリスは自分の頬を流れる一筋の血液に気付いた。
(……そろそろ武器を抜くべきかな)
「……少し本気出す」
アリスはゆっくりと腰元から短剣を抜く。銀色の刃が太陽の光を反射する。
最初のコメントを投稿しよう!