呪い師

3/3
33685人が本棚に入れています
本棚に追加
/714ページ
「……スカル」 そう呟いたのは巨大な鎌を背負った白髪の男。 通り名は“時王”。 「ああ、スカル君がいましたね! じゃ、ウォン君、彼を呼んで下さい」 「はい、わかりました」 ウォン、と呼ばれた青髪の男が側にあった装置を操作する。 七人が円になっている場所の中央部の床が開き、檻がせり上がって来た。 「おお、懐かしき面々……。 昔は私も“無王”様のお側にいられたというのに……」 檻の中に囚人服で幽閉された長髪の男は嬉しそうに言った。 「ハハ、すみませんね。 スカル君、最近暴走気味じゃないですか。だから、念のため、ですよ。 それに“無王”様は今は休養中ですから」 スカルの言葉に苦笑する闇王。 「そもそも“無王”が会議に参加する事事態が稀だからな……」 影王が小さく呟いた。 「で、スカル君。任務です」 「おお、ありがたき幸せ!」 「なるほど……。 では、対抗戦とやらに潜り込んで来ます」 「ええ、お願いします。 ただ、国軍も来ている筈なのでくれぐれも隠密に。 騒ぎを起こしちゃ駄目ですよ?」 「わかりました……。 ここに誓わせていただきます」 檻の封印が解除され、一人の狂人が解き放たれた。 「では、いってまいります、闇王」 「いってらっしゃい」 闇王に一礼すると、スカルは軽快な足取りで部屋を出ていった。 「相変わらず、大きな戦いを観るのが好きみたいですね」 ウォンは溜め息混じりに闇王に言った。 「フフ、戦いの匂いに敏感なのはスカル君、いえ、“呪い師”としての本能でしょう」
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!