33686人が本棚に入れています
本棚に追加
/714ページ
闇。
レマーレ地方にある王立闘技場の付近。
明後日からここで魔術学校の対抗戦が行われる。
時刻は夜中のニ時、人気は無い。
一人の少年がその暗い道を歩いていた。
胸についている二本の交差した剣の校章はシャルド魔術学校の校章。
少年はふと歩みを止める。
後ろを振り向くと、数名の男達が現れた。紫の瞳、黒装束――混沌一族であった。
「……何か用か」
「“闇燕”、闇王様の命により、貴様を捕縛する」
隊長格らしき男が黒光りする銃を少年の背に突きつける。
小刻みに肩を震わす少年。
「……怖じ気づいたのか?」
男は月夜に照らされた少年が顔が笑っている事に気づいたのと同時に、銃を持っている右手に違和感を感じた。
「なっ……!? て、手が!?」
右手が無い。
手首から先が綺麗に切り落とされていた。
「何をしてる、捕らえろ!」
手首を押さえながら男が叫ぶと、取り巻きの男達は各々の武器を手に少年へ襲いかかる。
「裁きの時間だ」
最初のコメントを投稿しよう!